今回は、「萌えゲーアワード 2016 話題賞」にも輝いた、ぱれっとクオリアの「オトメ*ドメイン」の感想です。
※感想記事という特性上、多少のネタバレを含みます。
ジャンル | アドベンチャー |
原画 | 館川まこ / こもわた遙華 |
シナリオ | NYAON |
発売日 | 2016年 6月 24日 |
音声 | フルボイス(主人公ボイスあり) |
解像度 | 1200×720 フルカラー |
対応OS | Windows vista / 7 / 8 / 8.1 / 10 |
HDD | 6GB |
CPU | Intel Core2Duo 2GHz 以上 |
メモリ | 必須:2GB (推奨:4GB) |
基本販売価格 | 7,480円 |
エンド数 | 3 |
全クリまでのプレイ時間 | 約30時間 |
祖母の他界に伴い、天涯孤独の身となった主人公。
そんな彼を拾ってくれたのは、
女子校を経営する同い年のお嬢様だった。
他に行くあてもなく、彼は女子の制服に身を包み、女子寮に住むことになってしまう。けれど、一緒に暮らし始めたお嬢様達は何だか残念な人達ばかりで。
「パンツが見つからないわ。今日はノーパンで過ごすしか…」
「すぐに用意しますから!そのまま出掛けちゃ駄目ですよ!?」
拾われてきた筈だけど、これじゃどっちが飼い主なのか分からない...!?
ぱれっとクオリア 「オトメ*ドメイン」公式サイトより引用
http://qualia.clearrave.co.jp/top.html
https://moe-gameaward.com/prize/2016/topic.html#p01
評価
- 世界観・設定(2):ちょっと主人公の女の子感が強く、百合ゲーでもいいのではないかってなることが。
- キャラクター(5):どの子もキャラが濃くて、可愛らしい。苦手な子がいなかった。
- シナリオ(4):起承転結もスッキリしているし、キャラを活かせていたと思う。
- H シーン(3):平凡なエッチシーン。イチャイチャ感は良し。
- サウンド(3):お嬢様学校という舞台にふさわしい品のある音楽が目立つ。
合計:17点 評価:A
主要登場人物紹介
飛鳥 湊(あすか みなと)CV:歩サラ
主人公。唯一の身寄りである祖母を亡くして、天涯孤独の身。行くあてもなく困っていたところに現れた風莉に拾われ、女子校に通うことになる。男の子だが、女装してスカートを穿くと胸を盛ったりしなくても全く違和感がない。その美少女っぷりは正体を隠すのには好都合だが、本人的には納得がいかないでいる。
趣味と特技は、料理や掃除洗濯など家事全般。引っ越し先の寮では、寮母もいない雑な生活を見かねて家事の一切を取り仕切ることに。後に新聞部のアンケート企画で『素敵なお嫁さんになれそうな子No.1』に選ばれる。
ぱれっとクオリア 「オトメ*ドメイン」公式サイトより引用
西園寺 風莉(さいおんじ かざり)CV:杏花
身寄りを亡くした湊の後見人となった大財閥のお嬢様。小さい頃、メイドをしていた湊の祖母に育てられたので、その縁で拾ってきた。学生の身でありながら、実家が経営する女学園の理事長を務めている。拾ってきたのは男の子だけど、面倒なので自分の学園に女装させて通わせることにする。
清楚で美しい高嶺の花……と見せかけて、実態は何かと不器用なポンコツ娘。人見知りだったり鈍くさかったり方向音痴だったり、放置するのが不安になる生き様を見せる。湊とは寮の中でも同じ部屋。
ぱれっとクオリア 「オトメ*ドメイン」公式サイトより引用
貴船 柚子(きふね ゆず)CV:上田朱音
湊や風莉と同じクラスで、住んでいる寮も同じ場所。名家のお嬢様だが愛嬌があって親しみやすく、湊のことも何かと気に掛けてくれる。
まさに理想の大和撫子……と思わせて、意外とアグレッシブなお転婆娘。細かい事は苦手で、汚部屋の住人。おまけに料理が趣味だけど超弩級のメシマズ。家事以外がまともなだけに、どうしてこうなった……と誰もが頭を抱えるお嬢様。新聞部に所属、これでも部長である。
ぱれっとクオリア 「オトメ*ドメイン」公式サイトより引用
大垣 ひなた(おおがき ひなた)CV:姫川あいり
同じ寮に住んでいる、一学年下の下級生。図書委員。実家は新興の企業グループを支配する成金一族、らしいが成金らしい嫌味さは一切無い。むしろ中二病が深刻すぎて、家柄とか性格とかそれどころじゃない。
自称、東方将軍ツァラトゥストラ。魔王軍四天王の一人らしい。既に世界を支配しているらしいが、頻繁に設定が変わるのでこれから侵略する時もある。とにかく全てが痛々しい少女だが、根っこは素直ないい子なので怒られると謝る。涙目で謝る。
ぱれっとクオリア 「オトメ*ドメイン」公式サイトより引用
攻略順
【ひるねの場合】
ひなた⇒柚子⇒風莉
【オススメ順】
どの順番でもいいけど、どのルートでもルートヒロイン以外からの好意が見え隠れするんで、そこは頭の片隅に置いておくといいかも。
感想
女装して女の園に溶け込むという話・設定自体はどっかで聞いたことあるものではあったけど(アッチむいて恋とか)、主人公の圧倒的女の子感で設定が無理のないものに昇華されていました。
日常パートとか、Hシーン未満のイチャイチャとか見てると、「もうお前ら、ガチ百合でいいよ。なんで、ちんちん生えてんだよ。おかしいだろ」ってなりましたね。
なんで、湊くんは湊ちゃんじゃないんだよ……
ルート分岐の手前で、湊くんの誕生日をサプライズで祝うというシーンがあるのですが、個人的に作中屈指の見せ場だったと思います。
女子校での生活を通して、男である自分の異物感と女の子だと周囲をだましているという後ろめたさとに、苦悩する湊くん。
「ここに、僕はいちゃいけないんだ」
と寮から出ていこうとすると、サプライズで寮のみんなからお誕生日を祝われ、幸せだった頃の誕生日を思い出して泣いてしまいます。
涙する湊くんを心から心配し、湊くんの抱える寂しさを、埋めてくれる寮のみんなの優しさ・温かさに、思わず僕の涙腺も緩んだものです。
個人的に、ここの件だけで、元とれます笑
モブも含めて登場人物みんな、良い人ばかりだったので、心を穏やかに楽しめたのも、僕としては良かった。
僕は時に、おどろおどろしい抜きゲーも嗜むので、こういうストレスなく、”ほわほわ”と穏やかに楽しめる作品というのは貴重です。
ゴリゴリに純愛モノのストーリーと魅力的なキャラが特徴のエロゲなので、地雷が少なそう。
風莉ルート
介護系ヒロインの風莉さんは、ボトラーのインパクトが強すぎましたね。
パッと見、ただのやべぇ奴でしたもん。
まさか、開始数クリックでエロスチル(?)出てくるとは……しかも、それがペットボトルに放尿するCGとは……
しかし、そんな風莉さんもルートに入ると、健気で頑張り屋な女の子の顔をのぞかせます。
幼少期に出会った湊くんのことを、長年想い続ける一途さや、好きな人に振り向いてもらえるために努力したり、ストレートに好意を伝えてきたり。
めっちゃ可愛いです!
ペットボトルを取り出しおしっこするヤバい奴から、一気に評価が一転しましたね。
いや、あなた可愛すぎんか?
そんな頑張り屋な風莉さんは、生徒みんなから愛される理事長でもありました。
理事長交代騒動の際には、生徒全員で一致団結して課題をクリアしようと頑張ったり、「理事長交代に反対」と声を上げて戦ってくれるほど慕われています。
理事長だからと、生徒と仲良くしないようにしていた風莉さんが、少しずつ他の生徒と関わるようになって、風莉さんの人となりや影の頑張りが伝わっていく様子が、見ていてとても気持ちよくて、思わず父親みたいな感情を抱いてしまいました笑
「良かった。良かったねぇ、風莉……」
みたいな笑
決してずば抜けて優秀じゃないけど、湊くんや、他の生徒のために身を粉にして努力できるというのは、風莉さんの凄いところで、大きな魅力で、見習いたいなと思いました。
柚子ルート
正直、最初はあまり好きじゃなかった柚子さん(おっぱいを除く)。
家事スキルが壊滅的なのに、自分の能力を正しく把握できておらず、周囲を巻き込んでしまう柚子さん。
ひょんなことから、湊くんに修行をつけてもらうことになった柚子さんだったのですが、ちょっと目を離した隙に料理に余計なアレンジをしてしまい、湊くんを怒らせてしまいます。
しかし、その行動の根底には「みんなに笑顔になって欲しい」という想いがありました。
その想いから、各々の好きな食べ物を入れたら、もっと喜んでくれるのではないかと考えます。
周りの人をもっと喜ばしたいという気持ちと、それが裏目に出てから回ってしまう行動。
このうまくかみ合わない歯車のようなキャラクター性が、いつの間にか好きになってるんですよね。
人を想い、行動することの尊さ。
これを体現している素敵な女性の顔が、いつのまにか見えてくるんです。
うまくいかない自分に落ち込みながらも、折れることなく真摯に向かい合う強さもあるところも素敵ですね。
ポンコツかと思いきや、包容力がえぐいってのもギャップが利いてて良かった!
ところかまわず、シュールストレミング開けようとするのは勘弁だけど笑
ひなたルート
ちょっとこの子の可愛さは異常でしたね……
あるちょっとした事件をきっかけに、湊くんを「お姉さま」と呼び、めっちゃ懐くのですが、それが堪らんのです!
この子の懐いてからの、妹感というか末っ子感というか、甘え方が超かわいくて、ハートをガッチリ鷲掴みされてしまいました。
ちょっと、ひなたの可愛さを的確にあらわす言葉は浮かばないので、実際にプレイしてこの子の可愛さは体感してもろて笑
中二病的な言動や行動は、お嬢様学校に通う周りの女の子には、なかなか理解できないため、人間関係に悩むも、それを強がって表に出さない繊細さも大きな魅力でしょう。
恋人になる前も、なった後も心配で気がかりだという湊くんも楽しめます。
最高に”お姉さま”してるの良い。
湊くんが男の子だからこそ、最大の理解者となれたのも結構グッときますよね。
”湊くんしかダメだった”ってのが堪らん。
シナリオは、ひなたルートのテーマとして「子どもから大人へ」というものがあったように感じます。
子どもというか、思春期特有の中二病という属性をもつキャラに焦点をあてると、”卒業のタイミング”であったり”周囲との乖離”が描かれることが多いですね。
このシナリオでも例に漏れず、どちらも描かれていました。
周りに素の自分のままでは、うまく馴染むことができずに年相応に悩んでいたり、うまくいかないときに出会った、自分の中二病的趣味を理解し、時には付き合ってくれる人との出会いだったり。
いつまでも同士と思っていた友人が、とっくに大人へと変貌していたり。
”ひなたちゃんの抱える悩みや現実”が等身大で描かれていて、とても読んでいて感情移入できました。
そりゃ、いきなり自分が渇望していた人物が現れて、自分のことを多少なりと理解してくれたら、懐くし、好きになるってものですわ。
キャラというか属性に付随する悩み以外に、同性愛について悩む場面の描写も特徴的だったと思います。
実際には、湊くんは男の子なので、同性愛ではないのですが、湊くんを男の子だと知らないひなたちゃんは、同性愛だと勘違いしてます。
「同性愛なんて気持ち悪いよね」と悩みながらも、自分の気持ちを抑えきれず、勇気を振り絞った告白シーンは凄かったですね。
思わず、応援しちゃいますもん。
ぜひ、一度見て欲しい!!
私的ヒロインランキング
3位:柚子
”完璧”ではないからこその愛らしさと周囲まで幸せにしてくれる明るさ
2位:風莉
頑張り屋さんで、一途に好きな人に振り向いてもらおうとする健気さ
1位:ひなた
小動物チックな可愛さと、意外と気配りやなのが最高!!
まとめ
性格・ビジュアル・声含め、キャラも十分魅力的だし、シナリオも読んでいてストレスフリーに純愛モノとして楽しめる作品だと思います。
エロゲ初心者でも、きっと満足できるでしょう。
王道なストーリー進行なので、展開が読めてしまうというのは”玉に瑕”。
おどろくようなストーリー展開を期待すると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれませんね。